BFVの空は黒歴史で曇っている

BFVの空は黒歴史で曇っている

 

恐らくわたしの最後のBFVに関する記事。BFVの航空機を中心としたビークルバランスの歴史とその評価、次回作で改善してほしい点をまとめてみた。

総括といったところが、言うまでもないがすべてわたし個人の評価と感想であるので、是非批評してもらいたい。完全に独断と偏見である。

そして先に言ってしまえば、題名の通りあくまでビークル関連バランスの観点での話であれば、わたしは「BFVは失敗作」だと思っている。もちろんBFVならではの良さや楽しさもあるのだが、責任のある解説記事を書き、このゲームを楽しんだBFファンとしての評価だ。題名の通り、なにがダメだったかをわたしなりに考察し、次回作への期待を込めた記事のつもりだ。

 

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そしてこれだけは言わせてもらいたいのだが、わたしは決してBFVアンチなのではない。まあそもそもアンチなら解説記事なんて作らないのだが。むしろ新参とはいえBFシリーズが大好きだ。特にわたしの原点であるBF1に関しては2000時間以上もプレーしたし、BF4でも主に攻撃機で遊んでいた。もちろんBFVもいろいろありながらも楽しんだ。

だがこれだけは言わせてもらおう。BFVのビークルバランスは本当にひどい。開発陣にはビークル扱える人間がいないのだろうか?と思うほどである。もちろんBF4やBF1もとても褒められたものではないが、それにしてもBFVのビークルバランスはひどすぎる。

一応初めましての読者のために本編記事を貼っておこう

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初期 航空機の黄金時代

 

①初期Ju88A

 

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初期からBFVを遊んでいたプレイヤーなら悪夢として記憶してるであろう、アイツである。空飛ぶ理不尽あるいは双発エンジンの災害、と形容すればいいだろうか。

開発陣はきっとIKEAにクレームの電話を入れるついでにノリでJu88Aの性能をデザインしたのだろうか、32発もの対歩兵爆弾をばら撒く光景はもはや戦争犯罪である。おまけに対空砲がバグでダメージがほとんど入らないという無双環境に加え、初心者戦闘機が強化された後部機銃にいとも簡単に落とされる事案はもはやコンクエストにおける風物詩であった。肝心な対空戦車もお世辞にも強いとはいえず、彼らの射撃音は爆死する直前の断絶魔の叫びであった。もちろん当時はフリーガーファウストなんて存在しなかったので、敵の戦闘機が上手なプレイヤーでもない限り好き放題できた。

対歩兵が強いくらいであればまだいいのだが、なんと対戦車と対歩兵が両立できるとかいうなろう系性能なため、戦車すら片道で無慈悲にワンパンできるという有様であり、職場のIKEAの椅子が不良品だったとはいえさすがにもっとましなバランスで発売できたはずだ。こいつのせいでBFVは戦車が歴代最弱と言われるまでに可哀想な環境であった。

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②初期戦闘機(ミーネンゲショス等)

 

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どうしてもJu88Aに隠れがちだが、実は英独双方の戦闘機の方が狂ってたとわたしは思う。まずはイギリス戦闘機であるスピットファイアのVAの8連機銃があまりに強すぎてあのJu88Aですら秒殺できるバカ火力であったので、メッサーシュミットたちは被弾すれば死亡とかいう嫌な方面で意味リアルな空戦が楽しめた。当時は機動力でもほとんど英独で差がなかったため、PC版の空はほとんどイギリスが制空権を握る情勢はマップと時代背景を加味すればもはや架空戦記であった。

それでも十分すぎるのだが、ドイツ戦闘機であるメッサーシュミットG-6で装備できたミーネンゲショスが暗躍していた。機銃を榴弾化して爆発ダメージを発生させるものなのだが、爆風ですら3発ほどで歩兵を吹き飛ばしてしまう頭おかしい性能をしており、エース級のパイロットであれば簡単に100キルできてしまう「ぼくのかんがえたさいきょうのひこうき」状態であった。爆風ダメージがコックピットを貫通してパイロットに直接入るとかいうクソ仕様で、普通の機銃なんかよりよほど対空性能が強かった。またドイツ航空機のロケットは爆発範囲が広い上に確殺範囲もほぼそれに等しかっただけでなく、なんと初期はスポットカメラを専門技能で併用できたので、歩兵の位置を把握してからミーネンゲショスで吹き飛ばし、敵の爆撃機をも瞬殺できるという「全部こいつでいいじゃん」という性能であった。開発者はイグノーベル賞に値するだろう。ただしスピットファイアには瞬殺される模様。

 

③初期の航空機スポーン位置 等

 

f:id:S0WH4T:20200327232707p:plain そして上記の異世界転生してきた航空機たちの無双を助けたのが航空機のスポーンのタイミングであろう。ラウンド開始直後は現在の戦車とおなじタイミングで出撃できたため、ラウンド開始したときには敵陣上空を飛行することができ、まさにスポーンキル爆撃が可能であった。まあこの辺はのちに修正されたので良しとしよう。またほかにも、機銃が1000発近くある、爆弾やロケットが補給所を通過したとたんに回復する、37㎜ボルトカノーネで爆撃機4発キルだとかいろいろおかしい部分はあったが、挙げるときりがないので割愛する。対空砲も当時から性能自体は決して弱くないのだが、いかんせんダメージが入らないバグに加え航空機側が強すぎて自殺志願者に人気な固定兵器となっていたことも留意しなければならない。

 

中期 過激な迷走期

 

①Ju88C&モスキートMKⅣの実装

 

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今は亡きタイドオブウォーの報酬として新しいビークルが2機追加されたのだが、今思えばこんなことになるのなら実装しないでほしかったほどにぶっ壊れていた航空機であった。新型モスキートはサクソフォン気筒などという最高速度を全航空機で最高にする専門技能と8連ミサイル&500ポンド爆弾とかいう贅沢装備のおかげで、敵戦闘機から逃げながら延々と戦車を破壊できる地獄環境が生まれ、イギリスがほとんど制空権を取ることもあり多くの戦車乗りがBFVから離れる原因となった。そしてなにより発売当初から存在していた旧型モスキートの完全上位互換な性能であり、旧型モスキートは歴史の闇に葬り去られた。唯一の取柄であったかわいいサメちゃんのノーズアートまで後のアプデで新モスキートに奪われたので、きっとDICE社員は家族をモスキートMkⅡに爆撃されたのだろう。

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サメちゃんかわいい。DICEを許すな。

Ju88Cはスポットカメラと対戦車装備を併用できるとかいう贅沢装備のおかげで、敵戦車や歩兵をスポットしてはひたすら砲撃できたし、別の専門技能ルートでも20㎜×4とかいうドイツ航空機最強の火力を持っていただけでなく、バグで旋回性能が戦闘機以上にあったのでスピットファイアを一方的にボコれるとかいう最悪な空環境になってしまった。のちに修正されたが。この頃はさすがにわたしも耐え切れずにしばらくはBFから離れていた。

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②航空機の挙動調整

 

2019年3月に航空機の物理演算や挙動に大幅に調整が入った。いろいろあるのだが、簡潔に言うならば機体が早ければ早いほど機動力が上がり、スロットルを下げるだけでは速度が落ちにくくなり、降下するときほど速度が上がる仕様となった。これはDICEのいうリアルな空戦の再現でありベテランパイロットが楽しめる環境なつもりであった。しかし実際の戦闘機の格闘戦で起きたのは減速合戦であり、これが非常につまらないと一部のパイロットからは猛反発であった。実際にこれが理由で引退した人もいたくらいだ。個人的には慣れてしまえばそこま気になるものではなくなったが。

 

 

③航空機の爆弾の弱体化など

 

 あまりに航空機が暴れすぎていたため、ついに爆弾などが大幅に弱体化した。これを皮切りに航空機はアップデートが行われる度に弱体化が保証される分野となった。もちろん妥当な調整である。脳死で爆弾放り投げれば戦車が壊れるみたいな状況から一気に直撃を狙わなければワンパンできないという技量が試されることとなった。(まあ直撃さえさせれば戦車ワンパンなのも十分おかしいが)

また細かい話だが、初期はパイロットは一律女性兵士であった。筆者自身が女性なので一切の性差別的な意図はないが、パイロットが女性であると何をするにも女性の声が聞こえるため、ドッグファイトならぬキャットファイト状態でイマイチ第二次世界大戦の空戦の雰囲気が味わえなかったのが、いつだかのアップデートで全陣営のパイロットが男性兵士になった。「え?それもまた極端すぎない?地上兵同様にカスタマイズできてもいいじゃん」と思ったあなた、その通り。まあそれに割くリソースがなかったのだろうが、あれほどポリコレに配慮してたDICEがとった決断としては意外なものであった。

ちなみに、これは完全に筆者の個人的な考えなのだが、ポリコレとは風邪薬のようなものだと思っている。適切な症例に合わせて服用するべきだが、誤った用法や量で服用してしまえば健康を余計に害するあまりか最悪の場合死に至る。たかがゲームなんだから史実なんてどうでもいいという意見もわかるのだが、わざわざ第二次世界大戦という歴史的な出来事をテーマにしてポリコレに配慮するくらいなら、初めから多様性が求められる現代や未来をテーマにしてもよかったのでは?というのが正直な感想だ。そもそも配慮される側の女性プレイヤーの多くが第二次世界大戦FPSで女性兵士がいることに喜ぶとは思えないし、女性が登場しないことに抗議する人権家を自称する人たちがこのゲームをプレイするとも思えない。まあ第二次世界大戦って一番ポリコレの対極にあるテーマだし。

 

 

④フリーガーファウストの実装

 

散々航空機に理不尽に吹き飛ばされ続けた歩兵たちに、ついに強力な対空兵器がガジェットとして実装された。強さはと言えば航空機に直撃で90ダメージとかいう破格の性能で、実装当時のフリーガーファウストの射程は300mと短いものの、正面から機銃掃射を仕掛けてくる戦闘機や爆撃を試みる爆撃機をいとも簡単に撃墜でき、フィエルなどのマップは航空機が歩兵に狩られる光景が繰り広げられた。少なくとも自衛としては充分すぎるほどであった。

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さて、パイロットのわたしとしては実装直後のフリーガーファウスト妥当な性能をした対空兵器だったと評価せざるを得ない。意外かもしれないがわたしは実装された時から「このくらいでよい」とTwitterで表明していたし、そのなかでも戦績はそれなりに残してきたつもりだ。それはなぜか

歩兵ガジェットの全弾ヒットで航空機に90ダメージは過剰な火力であると言えるが、客観的に判断するならば、それらに匹敵するほどの対地攻撃手段を機動力で圧倒的に上回る航空機側が有していたので、バランスはとれていたと評価するしかない。

今までは、例えば戦車であれば「基本的に戦車は爆撃機に対して一方的に不利」という状況があったのに対し、航空機側はそのような構図を持たず、肝心な対空戦車も五分五分といったところであった。(しかも対空戦車は対空以外にこなせる役割が少ない)航空機が野放しで無双できる状況は、歩兵が航空機に理不尽にキルされるにとどまらず、戦車がBFVにおいて肝心な役割を果たしづらい構図を作り出していた

ところが航空機に対する明確かつ一方的なアンチとして機能するフリーガーファウストの実装で一変する。簡単な図にしてみた。あくまでも1対1における関係ではあるが図のようなジャンケンに似た構図となったのだ

 

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 航空機にとってスポットされていない状態の歩兵をピンポイントでキルすることは往々にして難しく、ゲームとしてはフリーガーファウストを構えた歩兵にとっては航空機は一方的に攻撃できる存在である。航空機はいつどこに潜んでいるかわからないフリーガーファウストという存在を常に頭の片隅に入れて飛ばなけばならないため、もし撃墜できないにせよ戦車の護衛としての抑止力として十分強力であり、後述の太平洋戦線では戦車が躍進する要因となった。航空機は敵陣上空における一切の低空飛行の余地を許されなくなったわけだが、まあどちらかと言えば舐め腐った低空飛行で地上部隊を撃破できてた過去がおかしかったと言える。(いずれにせよフリーガーファウストがあろうとなかろうと、航空機が歩兵をキルすることは、歩兵で航空機を落とすことより数倍容易である)

とはいえ、300mという射程は一部のマップを除けばそこまで長くはなく、爆撃機が高高度から爆撃を試み、それを戦闘機が迎撃しようとし、それを阻止しようと駆け付けた戦闘機がドッグファイトに至るという理想的な空環境になればよかったのだが、航空機側にもフリーガーファウストの射程外から歩兵や戦車を撃破する手段は豊富すぎるほどに用意されていたにもかかわらず、大半のパイロットは今までのように低空飛行で機銃掃射や爆撃を試みてはフリーガーファウストに撃墜されることを繰り返していたのはなんとも残念な話だ。

 

さて、フリーガーファウスト実装後に発狂していた自称エースパイロット様たちが多くネットでは見受けられたが、わたしとしては何とも情けないと感じた。そもそも今までが温室すぎる環境を謳歌していただけの話であり、本物のエースパイロットはいかなる状況においてもスコアやキルを稼げるパイロットでなければならないので、むしろ腕の見せ所だったのだと思うのだが…。わたしとしてもむしろ敵味方の航空機がどんどん撃墜されていく中で自分だけが良い戦績を残すのは何とも快感だった。

ここで自称エース様にみられた主張として「ドッグファイト(航空機同士の戦闘)が楽しめない」というものであった。たしかに自陣に一直線に逃げる敵機を追うことができずに「なんだよ~逃げやがって~」と思うことは頻度としては増えたし、実際深追いしすぎて撃墜されることもあり、実際ストレスではあった。でもこのゲームは

歩兵と陸空海ビークルが入り混じって戦うバトルフィールド

である。航空機は決して主人公ではない。歩兵同士が撃ち合う中で航空機が上から爆撃するように、航空機同士が戦う中で歩兵から対空火器を向けられるだけの話であり、それ以上でもそれ以下でもない。そもそも「純粋なドッグファイト」などが存在した近年のBFシリーズは、一部の特殊なゲームルールを除けば存在しないのだ。大切なことなのでもう一度言うが、

バトルフィールドは歩兵とビークルが殴り合うゲーム

なのだ。もっとも、純粋なドッグファイトができないと騒ぐ自称エースパイロットに限って歩兵狩りを率先して行っていたので、つまり一方的に歩兵はキルしつつ正々堂々(笑)としたドッグファイトを楽しみたいだけの矛盾した主張でしかない。

 

ただしのちに対空砲が謎強化され、このバランスは脆く崩れてしまうのだが。。。

 

 

後期 理不尽VS理不尽の時代

 

 

①太平洋戦線の実装

 

これをBFV後期のジャンルとして書かないといけない筆者はとても悲しい。ソ連が参戦せずイタリアがヘマしない第二次世界大戦なんてナチスが勝ってしまう。

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太平洋のマップが実装され、同時にアメリカと日本の航空機も新たに実装された。しかしこれらの航空機たちがまたハチャメチャな性能をしていた。特に対歩兵で猛威を振るった4連榴弾は歩兵を上陸艇ごと吹き飛ばし、対戦車においては戦闘機の機動力を有しながら戦車を一撃で撃破できる500㎏×2や、撃破と行かなくても8割ほど削ってしまう8連ロケットなどを兼ね備えており、まさに主人公補正がかかってるかのような性能をしていた。ただしこれらはしっかりフリーガーファウストや新たに実装された40㎜対空砲(まあこいつがなかなか壊れ性能だったのだが)などでしっかり対策すればある程度は抑えることができていたので、太平洋マップは今までに比べればバランスがマシだったように思われる。実際、強力な対空手段のおかげで戦車が瞬殺される機会が減り、地上では戦車が中心的な存在となり、増援で呼べる特殊戦車は文字通り戦況を動かした。

 

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②対空手段の超強化

 

終わりの始まりである。もともと強力であった対空手段が強化されたのだ。具体的にはフリーガーファウストの威力と射程の強化対空砲のダメージと弾速の強化である。

フリーガーファウストに関しては、いろいろ調整が入ったが、結果として近接信管をそのままに戦闘機に分類される航空機が一撃で撃墜されるようになった上に、なんと射程が600mに倍増した。しかし、これは先ほどのジャンケン理論のように、歩兵が航空機の絶対的アンチとしての役割であるので初心者殺しとはいえ許容範囲だ。

問題は対空砲の強化であり、40㎜対空砲に至っては戦闘機に対して1発12ダメージという壊滅的な性能している上に、弾速も近接信管も強化されたために正確な偏差が必要とされなくなったために、もともと射程が異様に長かったことが災いして高高度であろう逃げ場がなくなったのだ。それで何が起きたかと言えば、

・対空砲の威力と射程が強力すぎて、一つでも対空砲が動いていると航空機同士での戦闘が実質成り立たない(航空機同士で戦う意味がない)

・ロケット等の遠隔攻撃手段で、対空砲の最大射程内ではあるがフリーガーファウストの有効射程外から対地攻撃することしかできない

・結果として、航空機側としてはフリーガーファウストの射程範囲外からロケットで歩兵をキルしては自陣に帰る、歩兵で言うなら「芋」と変わらないことしかできなくなる。

・歩兵側としてもフリーガーファウストの有効射程に航空機が来ないのでなかなか撃ち落せない

というどちらも得しない環境となり、パイロットも歩兵も非常にフラストレーションの溜まるゲームとなってしまった。しかもここで一番たちが悪いのは、対空砲に乗ってるプレイヤーですらストレスフルな環境なのだ。主に戦闘機にはロケットや無誘導ミサイルのような遠距離攻撃手段が用意されており、それらは対空砲の最大射程ほどの距離であればほぼ照準通りにまっすぐ飛ぶ。つまりこれは腕の良い戦闘機であれば対空砲1台程度であれば楽に対処できてしまうことを意味する。しかし対空砲は援護兵で修理すれば半永久的に復活するし、戦闘機も敵陣まで行くメリットがないから自陣に補給しに引き返すしかないし、これをひたすら繰り返すことになるため遠距離からぺちぺち歩兵を狩るだけの「意味のないキル数」だけがスコアボードに残る。これは敵チームとしても不愉快な数値としてリザルトに記録されるだろう。

要するに誰も得しないのだ。真面目に勝利を目指す歩兵も航空機も誰も楽しくないし、ただひたすら理不尽をぶつけ合うだけのクソゲーと言われても仕方ないバランスに仕上がってしまった。味方に貢献とかどうでもいいからキル数だけ稼ぎたいパイロットと、ただ執拗に航空機に粘着して嫌がらせをしたい対空砲使いからすればそこまで悪くない話かもしれないが

要因としては、航空機の遠隔攻撃手段を弱体化せずに対空手段を強化するという選択肢をDICEがとったということだ。すでに航空機が異様に強くフリーガーファウストもそれに対抗できるほどの破壊力があったので、せいぜいロケットの弱体化(例えば精度や威力の距離減衰など)さえしておけば、対空砲を強化しなくとも少なくとも今よりはマシなバランスであったはずだ。ロケットなどの性能が高すぎる現環境であれば現在の対空砲の性能は確かに釣り合っているが、それによって失うものが多すぎる。もしロケットの弱体化だけしておけば、航空機側にできることが一つ減っただけで済んだかもしれない。

(個人的に)フリーガーファウスト実装でせっかくバランスがとれていたのに、これですべてが破壊されたと思う。

おそらくDICEはBFVで本格的な調整は行わないので、最悪な形でビークルバランスは完成することになってしまった。

 

 

③その他諸々

 

その他に米独・英独戦線の陣営差や高高度パッケージなどあるが、上記の対空砲謎強化に比べれば些細な問題である。

 

 

BFVの航空機は結局何だったのか

 

おそらくBFシリーズで最も強力な地位を航空機が占めた作品の一つであるが、ゲームとして重要なのはそれが強いとか弱いとかではなく、バランスのとり方である

もちろん一概には言えないしわたしの好みの話にもなりかねないが、理不尽に強い者同士で争わせるよりは弱いもの同士で争わせる方がストレスが少ないと思われる。特に雰囲気や世界観を楽しむカジュアルなゲームではなおさらそう思う。しかしBFVの航空機はあまりに強すぎる性能で登場して戦場を荒らし、それに対抗するべく対空手段も理不尽な性能に強化してしまった結果、少々両者にとって心地よくないバランスになってしまったようだ。ビークルに限らず、ファンの多くが競技性を求めないバトルフィールドのようなゲームこそ、尖ったバランス調整は避けるべきだと思う。もちろんそれが楽しいと感じる人もいると思うしわたしは彼らを尊重したいが、やはりBFVの売り上げやプレイヤー人口を考慮すればバランス調整が上手くいってない、もっと言えば失敗していると評価するのが中立的であろう。特に前作のカジュアルさを売りにした(無論褒められたものではなかったが)BF1の売り上げや評判と比べればなおさらだ。

つまり一言で言えば、「航空機は弱くていい」のである。BFの航空機なんてエースパイロットが極めれば強い、くらいでいい。その方が多くのプレイヤーにとってストレスが少ない。パイロット側にしても、うまくキルやスコアが稼げないストレスよりも、キルやスコア稼ぎが簡単でも理不尽に一瞬で撃墜されてしまう方がよほどストレスが大きい。なにより初心者にとっても、航空機と対空手段の双方が弱い方がずっと優しい。

無論わたしはゲーム開発者でもないのでゲームにバランス調整を軽々しく「ああしろこうしろ」と騒ぐのも無責任ではあるし、実際にゲーム製作が我々が思う以上に複雑で大変な作業であることも尊重しなければならない。嫌なら遊ばなければいいだけの話だ。しかし顧客でありプレイヤーであり、そしてBFシリーズのファンとして批判的に意見を述べることは、たとえ運営に直接届かなくとも無駄な行為ではないだろう。

 

次回作を心から期待しているわたしの愚痴に近いつまらない考察ではあったが、ここまで読んでくれた読者の皆様に感謝したい。